監査法人から事業会社への転職を検討している公認会計士もいると思いますが、
・事業会社で働くメリットは
・どのような分野で活躍できるのか
・年収はどの程度もらえるのか
・どのような会社がおススメなのか
といった疑問や悩みをもっている会計士もいると思います。
事業会社の勤務経験もある独立会計士モモタロウが、上記の疑問や悩みについてお答えします。
一昔前よりも、事業会社で働く公認会計士も増えてきております。
私の知り合いでも、企業内会計士・組織内会計士として活躍している会計士が多数おります。
今回の記事が、企業内会計士・組織内会計士として活躍するための一助になればと思います。
メリット① キャリアとしてプラス
会計士として視野が広がる
企業の内部に入って働なければ分からないことは多々あります。
経理の仕事を例にあげると、
・どのようにスケジュール調整するか
・どのように各部署の利害調整をするか
・どのような開示をすればよいか
等々、目の前の会計処理だけを考えていただけではないことを考えるので圧倒的に視野が広がります。
監査法人は何だかんだ言って、アウトサイダー(企業の外の存在)です。
企業内部でどのような意思決定が行われているか、外部者には分からない世界が間違いなくあります。
経理一つを取っても、どのように数値が作られているか、原価管理・管理会計はどのように行っているかを経験するだけでも、間違いなくプラスになります。
監査法人で毎年同じことを繰り返すよりは、事業会社で働いた方が間違いなく会計士としての成長につながるはずです。
企業の論理(常識)を知る
企業で働いたことがない会計士は、平気で無理難題を言うことがあります。
・固まったはずの数値をひっくり返す
・認めていた会計処理を突然認めなくなる
企業にとってのサプライズが往々にして起こります。
サプライズによって、どれだけ工数が掛かるのか、どの程度スケジュールがずれるのか、実際に企業で働いたことがない会計士はピンと来ないのかもしれません。
会計監査だけをやっていてビジネス感覚が欠如した会計士として生きるよりは、企業での経験を積むことは何倍も価値があると個人的には思います。
また、事業会社で仕事をする上での作法を肌感覚として持つことは、事業会社の外で働く(コンサル会社、独立して働く)上でもプラスになるはずです。
メリット② ワークライフバランスが達成可能
転職先の企業にもよりますが、一般的に事業会社の方が監査法人よりもワークライフバランスが取りやすいです。休暇も取りやすいはずです。
社歴の長い企業(上場企業)では労働組合の存在が大きく、労働者の権利が圧倒的に守られています。
昨今の監査法人での労働環境も紆余曲折があって改善されてきたと思いますが、監査法人では職員の権利が軽視されがちです。
監査法人の基本思想として「嫌なら辞めれば」がありますので、全員が長く働いてもらうという設計にはなっておりません。
一方、事業会社では、従業員に長く働いてもらうという考えがありますので、長く働いてもらうための制度が整備されております。
ワークライフバランスを重視するのであれば、事業会社への転職はおススメです。
企業内会計士・組織内会計士 活躍のフィールド
監査法人での勤務経験がある公認会計士であれば、経理、内部監査、経営企画といったポジションでの仕事が多いと思います。
企業が会計士を採用する意図(会計士に期待する点)は、
・最新の会計基準に精通している
・監査法人の論理(落としどころ)が分かる
・(20代であれば)会計士試験に合格したポテンシャル
といったところかと思います。
仮に会計監査しかやっていなかったとしても、柔軟性がある会計士であれば、その企業での実務に適応できるはずです。
また、一つの仕事で高いパフォーマンスを示すことができれば、色々な業務に声が掛かり、経験値を高めていけるはずです。
事業会社へ転職すると年収はどうなるか
年収が上がるか下がるかは、転職先の企業の待遇・監査法人でのポジションにもよるので一概には言えません。
ただ、監査法人の給与水準は高いので、若干下がるパターンが多いと思います。 監査法人での給与水準を維持するとなると、総合商社、金融、不動産、広告代理店、マスコミ等が候補になるかと思います。
ただし、上記のような人気企業への転職としては以下の注意点があります。
・人気企業には既に会計士がおり、会計士の応募が多い(ライバルが多い)ので求められるスペックも必然的に高くなる。
・待遇が良い大企業の仕事は、仕事自体が細分化していることが多いので、仕事があまり面白くないことが多い
会計士として活躍するためにおススメの転職先
小ぶりな企業に行こう
独立会計士としての私の意見は、上場企業でも会計士がいないような小ぶりな会社に行くことです。
逆に、小ぶりすぎて会計監査が必要ないような企業はおススメしません。
監査対応(監査法人対応)は間違いなく、企業内会計士が強みを発揮する分野だからです。
企業内会計士・組織内会計士としてのキャリアは、「経験を積む」ということに重きを置いた方がよい
小規模な会社であれば、正直なところ従業員のレベルもそこまで高くないので、すぐに頭角を現すことができます。
頭角を現すと色々な仕事(プロジェクト)から声が掛かり、経験値を高めることができます。
安定志向はリスク
一方で、事業会社への転職を検討するということは、安定志向があるのかもしれません。
ただ、ここまで変化が激しい社会だと、安定志向はリスクになりかねません。
現在の優良企業が10年後、20年後も優良企業である保証はどこにもないのです。
実際、待遇が良い大企業を選んだ知り合いの会計士も、数年後に
「仕事がつまらない」
「思ったような経験が得られない、成長ができない」
といった理由で、その企業を離れる(再度転職する)ことも多いです。
まとめ
今回は、会計士が事業会社へ転職する際のポイントについてお伝えしました。
実際の転職活動に際しては、転職エージェントへの登録が第一歩になります。
おススメの転職エージェントについては、こちらの記事をご参照ください。