会計士受験生です。
公認会計士試験に合格したら監査法人で働きたいと思っています。
監査法人の年収はどの位もらえるのでしょうか?
また、監査法人での年収差はあるのでしょうか?
独立会計士のモモタロウです。
大手監査法人で約10年働いた後に独立して仕事をしております。
今回は、独立会計士として監査法人での年収について実体験に基づいてお話をします。
監査法人を辞めて独立して仕事をしているから分かる、監査法人における年収の考え方についてお伝えします。
会計士受験生にはもちろん、監査法人に勤務している若手会計士(スタッフ、シニア)にとっても参考になる記事かと思います。
・大手監査法人で約10年間勤務
・上場企業での約3年間の勤務経験より事業会社と監査法人を比較可能
・監査法人での年収について、監査法人の外に出た(独立した)ので客観的に考えることができる
監査法人の年収 職階別
大手監査法人の場合、年収レンジは概ね以下の通りかと思います。
職階 | 勤務年数 | 年収 |
スタッフ | 1年目~4年目 | 600万円~800万円 |
シニア | 4年目~8年目 | 800万円~1,000万円 |
マネージャー | 8年目~12年目 | 1,000万円~1,300万円 |
シニアマネージャー | 12年目~ | 1,300万円~ |
パートナー | 15年目~ | 1,500万円~ |
スタッフ、シニアは残業代が支給されるので、配属されたチームの忙しさによって年収は大きく変わってきます。
10年以上前、J-SOXバブルの頃、年中繁忙期で残業を付け放題だったので入社2年目で年収が1千万円を超えたとある先輩は言っておりました。
自分自身もシニア時代の終わりでは、残業続きの日を送っていたので年収は1,100万円程度でした。
マネージャー以上だと管理職になるので残業代は付きません。パフォーマンスによって年収が変わってきます。
職階が上がれば、年収水準も上がっていきますが、昇進(プロモーション)のスピードは一律でありません。
皆が皆、同じように昇進していく訳ではありません。
ストレートでパートナーに駆け上がる人がいる一方で、万年シニア、万年マネージャーという人もいます。
同じ職階で長期間ステイする人たちは、監査法人にとって必要でないと判断されるリスクがあります。
どこかのタイミングで退職勧奨されるリスクに晒されています。
大手監査法人での年収比較 ランキングを比較しても意味がない
大手監査法人(監査部門)で差はなし
四大監査法人(監査部門)での給与水準は、大きくは変わらないと思います。
就職活動で、トーマツの年収が高い、新日本の年収が高い等々、噂話が出回りますが、あまり気にしなくて良いかと思います。
給与水準に差があったとしても、あまり大きな差ではないはずです。
リクルート活動では、監査法人間(四大監査法人間)で情報交換を行っております。
カルテルではないですが、抜け駆けをして給与水準を高めて人を集めるということは、あまり考えられません。
非監査部門で平均年収は変わる
一方で、四大監査法人全体の年収を比較すると若干差が出てきます。
四大監査法人の中で、年収水準が一番高いのはPwCあらたになると思います。
なぜPwCあらたの年収が高いのかというと、非監査部門(監査ではなくコンサルティング・アドバイザリー関係の業務をやっている部門)の売上比率が高いからです。
会計監査と比較して、コンサルティングやアドバイザリー関係の仕事は報酬単価が高いので、給与水準も高くなる傾向があります。
将来的に監査部門からアドバイザリー部門へ部門異動するのはありかと思います。
また、別法人のアドバイザリー部門に行くのもありかと思います。
シニアで昇進が止まっていた私の知り合いも、他の監査法人のアドバイザリー部門に転職することで、マネージャーに昇格して年収アップにつなげていました。
監査法人の年収は高いのか
若手(スタッフ、シニア)の年収は高いが…
監査法人の年収は、新卒就職での年収と比較すれば高い部類に入るでしょう。
初年度から、新卒1年目の社員に年収600万円を支給する日本企業は、ほとんどないと思います。
確かにスタッフ、シニアのおける給与水準は高いと思います。
また、年収1千万円に到達するスピードも遅くはないと思います。
一方で、昇進しなければ年収は上がらないという面もあります。
昇進しなければ、事業会社やコンサルティング会社に転職した方が年収アップになるという面もあります。
監査法人には福利厚生の概念がほとんどないです。
事業会社の手厚い福利厚生を考慮すると、トータルでは事業会社の方がお得(手取りが多い)ということもあり得ます。
(ただし、社会の流れからすると事業会社の福利厚生も徐々に減っていくのかなと個人的には考えています。)
監査法人の年収が高いことで動けない(動かない)
監査法人には福利厚生がないですが、やはり年収水準は高いのかと思います。
年収水準が高いことで動かない人(動けない人)も見てきました。
しかしながら、監査法人はいつまでも働き続けることができる組織ではありません。
どこかのタイミングで監査法人を辞める必要が出てきます。
詳細は、こちらの記事をご参照ください。
目先の年収よりも将来の年収を
監査法人を辞めて独立して仕事をしているから感じるのですが、監査法人での年収はあくまで通過点だということです。
自分は監査法人に約10年間いた訳ですが、新しいことに挑戦してきた10年間だったかと言われると必ずしも誇れる10年間ではなかったと思います。
惰性で過ごしてきた部分もあり、時間を無駄にしたという後悔もあります。
公認会計士というサムライである以上、自分のキャリアについて責任を持つ必要があります。
監査法人(監査チーム)にいることで、自分は何で貢献することができて、何によって成長できるのかを問い続けることが大切です。
人間、直近で幾らもらえるかということに目を奪われがちですが、自分の価値を高めることで将来に渡って稼げるようになるかという視点が重要です。
まとめ
今回は監査法人の年収についてお伝えしました。
監査法人の年収にとらわれることなく、稼げる公認会計士になるのだという目標を持っていただければと思います。
今回の記事が、公認会計士を目指す方々、公認会計士のキャリアの参考になれば幸いです。