会計士資格に興味がある社会人です。
働きながら会計士試験を目指すのは厳しいでしょうか?
会社を辞めるのはリスクが高いと感じております。
私は社会人を経験してから公認会計士になりました。
社会人になってから、公認会計士を目指す人もいると思います。
真剣に公認会計士を目指すべきか検討すると、色々と不安や悩みが出てくると思います。
私の経験を踏まえ、社会人での公認会計士受験について私の考えをお伝えします。
結論:働きながらの合格は厳しい。本気で合格したいならば受験に専念すべき。
・大学卒業後、新卒で上場企業に就職。営業の仕事に従事(経理には全く関係なし)。
・簿記に興味を持ち、仕事をしながら簿記1級を取得。
・会計系資格の最高峰を目指すということで会計士を目指すことを決意。
・退路を断ち(会社を辞め)受験勉強に専念。
・予備校はTAC(通信) ・2年の勉強で合格。(受験回数2回)
・合格時の年齢は20代後半
会計士試験には勉強時間が必要
会計士試験合格者の分析
以下、合格者(合格率)からの分析です。
会計士試験の全体の合格率は、近年、10%前後で推移しております。
難関資格であることは間違いありません。
2019年の合格者の属性を見てみると、論文式合格者1,337名のうち、学生750名、専門学校生171名、無職185名で8割以上を占めています。
会社員も83名、会計事務所員83名で働きながら合格している方もいます。
合格率でいうと、学生15.0%に対して、会社員3.5%です。働きながら合格するのが不利であることは明らかです。
なぜ働きながら合格するが難しいのか
会計士試験では勉強する内容(やるべきこと)が多いためです。
財務会計の計算(簿記)、財務会計の理論(財務諸表論)、管理会計、企業法、監査論、租税法、経営学(もしくは経済学 or 民法 or 統計学)と科目が多いです。
一部科目合格が認められているとはいえ、科目合格の期限が決められている以上、短期集中型の試験であることは間違いないです。
そうなると、まとまった勉強時間がどうしても必要になるので働きながらの受験は厳しくなります。
会計士試験合格に必要な勉強時間
会計士試験の勉強時間に関して、4,000時間は必要と言われます。
勉強時間は受験期間によって変わってくるので何とも言えないです。
一発合格の人はこれより短いでしょうし、受験回数が多くなれば、倍以上の1万時間を勉強時間として費やしているかもしれません。
私の場合は、約2年の勉強で合格しました。
1日あたりの勉強時間が約9時間、週6で勉強していました。
単純計算で
9時間×300日×2年=5,400時間
になります。
私は簿記1級を取得してから、会計士の勉強を始めました。
簿記1級までの勉強時間を含めると、6,000時間は超えることになります。
働きながら合格する人もいる
もちろん働きながら合格している人もいます。
私の知り合いでも、2人が働きながら会計士試験に合格しています。
ただし、いずれもハイスペック(東大出身)な人間です。(しかも結構なハードワークをこなしながら合格しています。)
このようなケースはレアだと思います。
今までの人生を振り返ってみて、試験勉強が得意かどうかを踏まえて考える必要があります。
あくまでも基本的な考えとしては、
「本気で合格を目指すのであれば、会社を辞めて(脱サラ)して、会計士試験勉強に専念すべき」
になります。
合格するまで何年かかるのか
勉強時間とともに合格まで何年かかるのかも気になるところだと思います。
一般的に、受験予備校のカリキュラムは、1年間~2年間でのコースを設定しています。
ただし、1年合格コースはスケジュールがタイトなだけに合格率は低くなります。
よって、1.5年から2年で合格すれば短期間で合格したと言えるでしょう。
受験回数が複数回になることも踏まえると、3年程度の勉強期間を想定した方がよいです。
社会人が会計士試験にチャレンジする場合、受験回数、勉強期間を区切っておくことが重要です。
自分で決めた受験回数で会計士試験に失敗したとしても、気持ちを切り替えて社会復帰を目指すべきです。
勉強に専念した(仕事を辞めた)場合 リスクが高い
仮に公認会計士試験に合格できなかった場合を考えてみましょう。
受験に専念したことで失うものは少なくないはずです。
・時間(膨大な勉強時間)
・専門学校へ支払ったお金
・機会費用(社会人を続けていたら貰えたであろう給料やボーナス)
社会人受験はリスクが高いです。
それでも合格率10%の難関資格に挑戦すべきでしょうか?
そもそも、公認会計士はリスクを取ってまで取得する価値のある資格なのでしょうか?
会計士資格に挑戦できるなら挑戦しよう
これは、あくまでも私の考えで正解のある話でもないです。
同じ社会人といえども置かれた環境は各々異なります。
【年齢】20代前半 or 30代
【家族】独身 or 配偶者・子供あり
【資金面】実家のバックアップを期待できる or 自分の貯金を切り崩して全てを賄う
それでも公認会計士という資格に魅力を感じ、どうしても公認会計士になりたいという強い気持ちがあるのであれば、私は挑戦するべきだと思います。
「やらない後悔」より「やった後悔」の方が絶対良いです。
年齢で挑戦を諦める方もいるかもしれませんが、人生100年時代で年齢を言い訳にするのはナンセンスだと思います。
資格を取れば人生バラ色かというとそんな甘い話でもなく、公認会計士にも不幸な人がいます。
それでも、私は公認会計士が魅力的な資格だと思いますし、公認会計士になって良かったと心底思っております。
合格後、不合格後を想定する
会計士になれた場合を想定
上記の通り、会計士資格に挑戦できるのであれば挑戦すべきとお伝えしました。
ただし、仮に会計士試験に合格したとしても、若い人と比較すれば、業界内のスタートが遅く、キャリアの選択肢が狭まる等、不利であることは間違いないです。
公認会計士に合格した後にどのようなキャリアを選択するのか、自分の年齢を踏まえて描いておきましょう。
大切なことは、単に公認会計士になるのではなく、公認会計士になって幸せな職業人生を送ることです。
会計士になれなかった場合を想定
仮に公認会計士試験への挑戦が失敗に終わってしまったら…
不合格のことも想定しましょう。
合格率10%の試験です。
10人受験したら9人は落ちる試験なのです。
勉強期間の期限を決めたうえで、不合格後にどのようなキャリアを選択するかも想定しておきましょう。
仮に不合格になったとしても、人生が終わりではないことは知っておいてください。
公認会計士試験は、人生のターニングポイントになるものですが、公認会計士試験の結果だけで人生の全てが決まる訳ではありません。
公認会計士試験に合格できなかった人で、社会的に成功している人はいくらでもいます。
おすすめの予備校は 独学は無理
会計士試験は、学習範囲が膨大なので独学は無理です。受験予備校を使って、効率的に勉強する必要があります。(どの分野を勉強して勉強しないか取捨選択することが重要です。)
社会人受験だからといって、特別おススメの予備校がある訳ではありません。
CPA会計学院、TAC、大原の3つが現実的な選択肢になってくると思います。
悔いのない選択を
働きながらさらりと公認会計士試験に合格する天才もいます。
しかし、私を含めて凡人は、公認会計士試験合格のために、仕事を辞めて勉強に専念する必要があります。
リスクがある選択です。
それでも、公認会計士を目指すのであれば心から応援したいと思います。
今回の記事が、会計士になるか悩んでいる社会人の方にとっての参考になれば幸いです。