無事、会計士試験に合格しました。
最初のキャリアとしては、大手監査法人で働きたいと思っております。 以前、大手監査法人のメリットを教えてもらいましたが、
大手監査法人で働くデメリットについても教えていただきたいです。
独立会計士のモモタロウです。
監査法人は事業会社と違って情報も限られているため、実際に働いてみないと分からないところが多いです。
以前、大手監査法人で働くメリットについてお伝えしました。
今回は、四大監査法人で約10年間働いた経験に基づき、大手監査法人で働くデメリット(負の側面)についてお伝えしたいと思います。
大手監査法人(四大監査法人)は過剰品質
大手監査法人はグローバルレベルの監査マニュアル、監査ツールで会計監査を行います。
それによって品質が保たれていると言えますが、一方で
「そこまでやる必要があるのか?」
「明らかにリスクがないのに過剰な手続きをしているのでは?」
といったことに直面することがあります。
四大監査法人のマニュアルはグローバル展開する企業や大規模クライアントにはマッチします。
一方で、小規模なクライアントに対しても、マニュアルを一律に適用するため、過剰品質になる傾向があります。
リスクがないことに監査資源を投入することほど不毛なことはありません。
ただ、実際のところ無駄なことに多くの時間が使われているのは事実だと思います。
大手監査法人(四大監査法人)で不祥事が起きると現場にしわ寄せが来る
これは大手監査法人に限った話ではないですが、あるクライアントで不祥事が発生した場合、「監査チームで十分な手続きが行われていたのか?」ということが問われます。
監査手続きが不十分であった場合、監査法人としての品質はどうなっているのだという議論に発展します。
そうなると他の監査チームには影響が及び、監査の現場ではチェックすべき項目が必然的に増えます。
やるべきこと(手続き)が増える
↓
現場での作業時間が増える
↓
激務になり現場が疲弊する
↓
離職者が増える
↓
監査チームの崩壊
という目も当てられない状況を、何度も見てきました。
あってはいけないことですが、大手監査法人では何年に一度かビッグクライアントの不祥事が発生します。
その度に、監査の現場は疲弊していきます。
大手監査法人(四大監査法人)では成長しないリスクがある
ビッグクライアントを担当することになると、細分化された仕事を担当する場合があります。
1年間特定の勘定科目だけを担当する等、全体を見渡す仕事ができないことがあります。
偏った仕事をしていると会計士として成長につながりません。
ビッグクライアントを担当していると、監査法人内では出世コースに乗っているとも言えますが、会計士として成長できないことに危機感を覚えるべきだと思います。
また、大手監査法人ではシニアやスタッフの段階では、判断を求められていないことがあります。
私の経験ですが、クライアントの質問に対して自分で調べてクライアントに回答すると、シニア、スタッフなのに勝手に何をやっているのだと怒られたことがあります。
そのような環境だと自分で考える習慣が失われていきます。
クライアントから相談を受ける→様々なことを検討して(調べて)答えを出すというプロセスによって、会計士は成長していくのだと思います。
大手監査法人では、ただの作業要員に成り下がり職業的専門家として成長できないリスクが存在します。
大手監査法人(四大監査法人)は多額のロイヤリティを払っている
四大監査法人は、グローバルレベルのマニュアル・システム、ブランドロゴを使用する代わりに多額のロイヤリティフィーを払っています。
有限責任あずさ監査法人の財務諸表では、グローバル加盟料として、2019年6月期に3,416百万円、2020年6月期に3,461百万円が計上されています。
有限責任監査法人トーマツの財務諸表では、グループ分担金として、2019年5月期に10,419百万円、2020年5月期に10,729百万円が計上されています。
EY新日本有限責任監査法人、PwCあらた有限責任監査法人の財務諸表では、ロイヤリティに関する金額が不明です。
PwC, EY, KPMG, Deloitteとブランド力は計り知れませんが、かなりの金額を払っている訳です。(上納金を納めている訳です。)
もし上納金を納めず職員に還元してくれたら、もっと待遇が良くなるはずですが、それはあり得ない話です。
まとめ
今回は大手監査法人で働くデメリット(負の側面)について解説しました。
私は大手監査法人でのキャリアが無駄にはなっていないと思います。
ただ、大手監査法人で働くデメリットを認識した上で行動していれば、有意義な監査法人生活を送れていたのではないかという後悔もあります。
また、監査法人ではパートナーにならなければ、働き続けることはできません。
いつかは監査法人を辞める必要があることについては、こちらの記事をご参照ください。